乱れる恋心:「陸奥のしのぶもぢずり誰ゆゑに 乱れそめにしわれならなくに」のストーリー

(14番)陸奥のしのぶもぢずり誰ゆゑに 乱れそめにしわれならなくに
 陸奥の忍草で染めた摺り衣の模様が乱れているように、私の恋心も乱れ始めてしまった。これはいったい誰がしたことか。私のせいではないのに。


 「もちずり」は乱れ模様の摺り衣(すりごろも)、「しのぶ」は、この摺り衣の産地の信夫(しのぶ)地方(福島県)と「忍ぶ恋」をかけたもの、「そめ」は「染める」と「始める」の意味と、この歌の技巧も相当なもので、なかなかついていけません。
 ここでは「もちずり」なるものをを絵に表しても、どういうものか、見る側からの理解を得にくいので、「乱れ模様」のようなものの代用品として、アゲハチョウを描きました。心が乱れるほどの激しい恋をしている主人公は、複雑な模様をしたアゲハチョウのはねを見て、「ボクの心と同じように乱れているんだ」と思っています。
 と、ここまではいいとしても、この「思い乱れている」原因を露骨に相手のせいにしているのは、あまりいただけません。「ボクがこうなった」のは「ボクのせいではない(キミのせいなんだ)」などとストレートに言われれば、これは現代のストーカーの言い訳と重なって聞こえます。せいぜい「キミが美しすぎるから」と相手をまずほめ、かつ間接的に責めたほうがよさそうに思えます(笑い)。
 でもそうすると、歌のインパクトがやはり弱くなる?

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