「原則として」過去の人物の写真をスケッチした肖像画のいくつかを公開します。「作品」というよりも、どちらかというと習作といった感じです。なにぶんにも似顔絵が下手なものですから、正直いってあまり似ているとは言い難いのですが。 ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト 義兄のランゲが描いた、おそらくはもっともよく知られた肖像画のスケッチです。未完成の衣装の部分は、勝手に想像して描きました。数多くの美しい作品を残した一方、下ネタや排泄物などに言及した下品な内容の手紙を妻やいとこの女性に書き送るなど、「人間味あふれたところ」(?)にも魅力を感じます。 アルベルト・アインシュタイン 20世紀最大の物理学者。この長い舌(?)を出した茶目っ気たっぷりの表情がいちばん気に入っています。下に書かれた数式は、一般相対性理論のアインシュタイン方程式で、質量(エネルギー)の存在により定まる時空の曲率(ゆがみ)を記述しているそうです。一見易しそうに見えますが、2つの添字を含んだ値は「テンソル」というとてつもなく複雑な数学式を表しています。何を隠そう、実は私は大学の物理学科出身ですが、落ちこぼれ学生だったため、結局ほとんどこの理論を理解できずに終わりました(笑い)。 第35代横綱双葉山定次 戦前のスーパースターだったため、相撲に関心のない方は「この人、誰?」とお思いかもしれませんが、「69連勝」といえばおわかりのことでしょう。相撲関係者のあいだではやたらに神格化されていて、どちらかといえば無表情な顔写真を目にすることが多いのですが、このように支度部屋(?)でユーモラスに笑っているモノクロ写真が残されていたため、すっかり気に入り、スケッチして色をつけてみました。しかし、どうも目のあたりがあまり似ているとはいえません。やはり似顔絵は難しい。 紫式部 土佐光起の描いた紫式部の肖像画を変え、表情を現代風にしたばかりでなく、笑顔にしました。『パロディ百人一首』の表紙用に作成したものです。彼女は『源氏物語』の中で光源氏をかなりユーモラスに皮肉っていますので、実際にはこんな風にときどき笑いながら、執筆していたのかもしれません。 裸のマハ 肖像画ではありませんが、スペインの著名な画家ゴヤの代表作の一つをスケッチしてみました。Illustratorの “限界” (それとも作者のスキル不足?)により、クッションの模様など細かな個所はだいぶ端折ってあります。 顔の部分は私の似顔絵の腕の未熟さからもとの絵とはいくらか変わってしまいましたが、右図のように結果的にさらに「色っぽくなった」と思い込んでいます(笑い)。この部分のみPDFを公開しますので、ご覧になりたい方は下のアイコンをクリックしてダウンロードし、拡大表示させてみてください。 ブルース・リー 映画『燃えよドラゴン』でのシーンからスケッチしました。もう亡くなったのはかなり昔のことですが、返す返すも32歳の若さで早世したのが残念でなりません。モデルとした写真よりも優しそうな表情になってしまい、実際のシーンのような殺気立った感じが表現できなかったのは、ひとえに自分の力不足というべきでしょう。 十字架のイエス 「彼」は人類の罪を背負って死ぬことにより、救いをもたらしたとされています。キリスト教を知らない人には少し凄惨過ぎるイラストですが、それでもこうまでせざるを得なかった「彼」の強固な決意を表現するには、まだ残念ながら画力が不足していると思います。 安倍晋三 氏 ご存じ日本の首相(2020年3月現在)。このイラストでは何かについて祈願しているようです。何について祈っているかは見る人の立場によって、いろいろ意見はあると思いますが、どうも国民のことではなさそうな… John F. Kennedy アメリカ合衆国第35代大統領。「ニューフロンティア」、キューバ危機の回避、「ベルリンの壁」など短い在任期間の割には話題に事欠かない指導者でした。平和的、リベラルなどの印象から今でも懐かしむ人も多いのですが、私生活でのスキャンダルのうわさもあり、「もしも」凶弾に倒れずに2期8年の任期を全うしていたら後世の評価は果たしてどうなったか? ツタンカーメン 古代エジプトのファラオです。実際に「本人」とされているのはかなり保存状態の悪いミイラであり、まさかこのミイラのしゃれこうべを〝肖像〟として描くわけにはいかないので、その代わりよく知られたあの黄金のマスクを描きました。このイラストは一見写真のように見えますが、「はじめに:ベクタ画像とは?」に掲載した「沢尻エリカさん」および「E5系新幹線」と同様、Illustratorの機能を駆使して作成した「作業成果」のようなものです。ですから厳密にはアートワークとはいえないものの、ここまでのレベルで作成するのにかなり時間を要しました。 綾瀬はるかさん ご存じ現在大活躍中の女優さんです。老若男女すべての世代で好感度ナンバーワンといってもいいでしょう。 モナリザ 例の「謎の微笑み」をIllustratorでできるだけ忠実に模写しました。したがってオリジナル作品はベクタ画像です。 和服美人(その2) きりりと引き締まった表情の和服美人。ところでタイトルは「その2」となっていますが、「その1」はどこに?勝手ながら作者の独断で『宝探し』のページにある『タンポポ』の女性を「その1』とすることにします。 写実画風「ビードロを吹く娘」- 和服美人(その3) よく知られた喜多川歌麿の浮世絵「ポッピンを吹く女」(ポッピンはビードロともいいます)を写実画風にしてみました。こちらもなまめかしい色気が感じられます。 アンドロメダ銀河 アンドロメダ銀河(オリジナルはベクタ画像) 地球から目視できるアンドロメダ銀河をベクタ画像で描きました。世間でよく見られる他のイラストと比較すると、正直言って質的にかなり見劣りしますが、ファイルサイズがコンパクトなベクタ画像として表現するには、私の現状のスキルからいって、これが限界です。ごく小さな「背景」(実は銀河よりはるかに手前にある)の星々については、一つひとつまともにプロットするとサイズが重くなるので、テクスチャのパターンでごまかしました。 〝ライオン〟を見つめるライオン 1頭の立派なオスライオンが、コンクリートの割れ目から生えてきたタンポポを見つめています。アフリカのサバンナではタンポポが繁殖しているような話は聞きませんので、動物園での出来事とします。なぜここで「タンポポ」を持ち出したかというと、タンポポの英語名は dandelion といい、フランス語で「ライオンの歯」を意味するダン=ド=リオン (dent-de-lion) に由来しているからです(こちらを参照)。「だからどうした」というわけではありませんが(笑い)、このライオンは自分の名を貸した花を見て何を思うのでしょうか。 八千草薫 上品さと優しさが漂う女優でしたが、『岸辺のアルバム』では、ある意味での〝汚れ役〝も演じ切りました。 比嘉愛未 現在大活躍の俳優さんです。似顔絵の腕もだいぶ向上したと自負していますが(笑い)、そのへんの判断は皆さんにお任せします。 渥美清 「フーテンの寅さん」のイメージです。この肖像は、「パロディ百人一首」の「サクラをながめる寅次郎」で描かれている後ろ姿の寅さんが実はこんな表情をしていた、という設定です。 山口百恵 1980年に惜しまれながら引退した歌手です。モデルとした実際の写真より、特に目の部分が色っぽくなったような気がします。まぁ本人がもし30台まで歌手を続けていたらこんな感じになったかもしれません(笑い)。実は以前にも彼女をモデルに絵を描いたことがあります。2020年に描いた「秋桜(コスモス)」と比較してみてください。 マリリン・モンロー いろいろと評価が分かれる俳優ですが、決して単なる〝お色気女優〟であったとは思いません。役に対するひたむきさも感じられました。なお彼女に関しては、「パロディ百人一首」の「マリリンの涙が止まらない」でもモデルにしました。このときの稚拙な絵と比較していくらかは進歩が見られると思いますが、いかがでしょうか。 オードリー・ヘップバーン 1993年に亡くなりましたが、今も人気の高い映画俳優です。「ベクタ画像上で宝探し」でもモデルとして描いていますので、お時間のある方は比較してみてください。