この歌は、「通い婚」の風習があった平安時代に、女性が男をひたすら待ちわびる気持ちをおもんばかったものだ、というのが通説です。百人一首の中には、このような「思いやりのある」キザな歌が、他にもあるようですが、どうも私は好きになれません。だいたい作者は、そんなに余裕があるほどモテたのでしょうか。
そこで今回は、思い切って視点を現代に移してみました。そうすると、相手の何気ないひとことを信じて、夜通し待ち続けるのは、実は男性の側であるケースが圧倒的に多いといえます。
ここに、そのような真面目で、ある意味「思い込みの強い」男性の一人である、アキラくんの悲惨な体験談を掲載します。
「彼女(と思っていた人)が『今すぐに行くから』といったので、この言葉を信じて公園で待っていたのに、いつまでたっても現れず、夜が明けて有明の月を眺めることになってしまいました。哀れなボクは放心状態のまま、ブランコの上で身じろぎもせずにいたものだから、気がついたらいつのまにか、野良ネコが膝の上で居眠りをしていました。もちろん、電話をかけても出てもらえません。チクショー!」
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