この歌は、前の「しのぶれど色に出でにけりわが恋は ものや思ふと人の問ふまで」が詠まれた同じ歌会にて、その作者の平兼盛と「忍ぶ恋」のテーマで競って作られたものであるそうです。ですから、「恋していることがバレちゃったみたい」という、同じようなニュアンスの歌になっています。
だれかに恋してしまったら、どうしてもそのことが態度や振る舞いに表れ、すぐうわさになってしまいがちです。いわく、「隠すより現る」です。
さて、ここにいるドラネコのドラくんは、大変な奥手であり、「恋の道」についてはまったくのうぶです。彼は最近、同級生のメスネコ、メアリーに恋するようになりましたが、彼女の前ではまるで〝借りてきたネコ〟のようにおとなしく、何も言えなくなってしまいます。その上、彼はとても恥ずかしがり屋なので、今や「メアリー」の名前を口にしただけで顔が真っ赤になります。こんな様子なので、まわりの意地の悪いネコたちもすっかりこの「密かな」恋心に感づいてしまいました。
彼らはある日、彼にメアリーの写真を渡しました。そしてその写真には、「壁に耳あり、障子に」と書いてありました。これを見た彼が赤面したことはいうまでもありません。
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