ー パロディ百人一首 ー

愛の女神に砕け散る:「風をいたみ岩うつ波のおのれのみ 砕けてものを思ふころかな」のストーリー

(48番)風をいたみ岩うつ波のおのれのみ 砕けてものを思ふころかな
 風が強くて岩を打つ波のように砕け散る自分だけは(岩は平気なのに)、振り向いてくれないあの人に思い悩んでいるこの頃だ。


 切ない片思いに悩むサーファーのナミヘイくん。いつものように、沈みきった気分で波打ち際に立ってみると、きょうは風が強くて波が高すぎ、サーフィンをやるにはとても危険な状況です。激しい波は沖合に屹立する岩にも打ち付け、砕け散っていくつもの波しぶきを生んでいます。
 ナミヘイくんはここでしばらく強風がおさまるのを待っていましたが、いっこうにその気配はありません。その間、彼は「愛の女神」に願掛けして、彼女がせめてこちらをふり向いてくれることを祈っていました。しばらくしてふと沖の岩を見ると、なんとその岩は、以前美術の教科書で見たことのある、あの「ミロのビーナス」の姿に変わっていました。そしてその顔は心なしか、彼女にも似ています。もちろん、こんな光景は幻覚のなせる業にすぎません。そもそもこの冷徹な「愛の女神」はご利益願いなど受け付けません。
 結局彼は、彼女に当たってむなしく砕けっぱなしの波にすぎず、〝女神〟である彼女の方はビクともしない存在であることを悟りました。
 ナミヘイくんの恋の悩みは、まだ当分続きそうです。

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