別れの朝:「明けぬれば暮るるものとは知りながら なほ恨めしきあさぼらけかな」のストーリー

(52番)明けぬれば暮るるものとは知りながら なほ恨めしきあさぼらけかな
 夜が明ければやがて暮れるものとはわかっているが、それでもやはりこの明け方というものが恨めしく感じられることだ。


 とある山荘で一晩をともにした〝ワケアリ〟そうなふたり。けたたましいニワトリの鳴き声で目を覚まし、窓の外を見やるとすでに夜が明け、まぶしい日差しが室内に差し込んできます。
 「もう、夜が明けちゃったみたい。これでまた、しばらくお別れね」
 「そうだな。地球は自転しているのだから、夜は必ず明けてしまう…」
 「またそんなへ理屈ばっかり。だから理系の人って、きらい!」
 「まあ、話の続きを聞けよ。地球は自転しているのだから、いったん夜が明けても、やがて暮れて、必ずやまた夜が来る。そうしたら、再び逢えるじゃないか」
 「そんなことは、子どもでもわかっているけど、でも朝になったら、いとしいあなたと別れなければならない。ああ、なんとうらめしい夜明けだろう…」
 「そうだね。でももうここを出なきゃ。
(腕時計を見て)あっ今6時1分か、それじゃ、また11時間59分後にいつもの場所で」
 「もう!ロマンも何もないわね」
というわけで、ふたりは、再会することのできる次の夜の到来を待ち焦がれるのでした。

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