とある山荘で一晩をともにした〝ワケアリ〟そうなふたり。けたたましいニワトリの鳴き声で目を覚まし、窓の外を見やるとすでに夜が明け、まぶしい日差しが室内に差し込んできます。
女「もう、夜が明けちゃったみたい。これでまた、しばらくお別れね」
男「そうだな。地球は自転しているのだから、夜は必ず明けてしまう…」
女「またそんなへ理屈ばっかり。だから理系の人って、きらい!」
男「まあ、話の続きを聞けよ。地球は自転しているのだから、いったん夜が明けても、やがて暮れて、必ずやまた夜が来る。そうしたら、再び逢えるじゃないか」
女「そんなことは、子どもでもわかっているけど、でも朝になったら、いとしいあなたと別れなければならない。ああ、なんとうらめしい夜明けだろう…」
男「そうだね。でももうここを出なきゃ。
(腕時計を見て)あっ今6時1分か、それじゃ、また11時間59分後にいつもの場所で」
女「もう!ロマンも何もないわね」
というわけで、ふたりは、再会することのできる次の夜の到来を待ち焦がれるのでした。
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