ー パロディ百人一首 ー

フクロウ 嘆きの夜:「嘆きつつひとり寝る夜の明くる間は いかに久しきものとかは知る」のストーリー

(53番)嘆きつつひとり寝る夜の明くる間は いかに久しきものとかは知る
 嘆きながらひとり寝る夜が明けるまでの間は、これがいかに長いものか、あなたにはわかりますか。


 作者が自ら著した『蜻蛉日記』によると、浮気をしている夫兼家が明け方の頃に彼女を訪ねて来ました。当時は夫が妻のもとを訪ねるのは、「今夜はあなたと過ごしたい」という愛情を示すことですので、明け方になってからやって来ること自体、妻に対する侮辱です。怒り心頭の作者は、しばらく開門せず、兼家が「待たされて疲れた」のような不満を口にしたので、すでに枯れかけている菊一輪(自らを自虐的に象徴)とともにこの歌を書いた紙を差し出したとあるそうです。すなわちこの歌は、作者が実際にこのようにこの日の夜を過ごしたという事実と、その間の心理状態をそのまま吐露したものと言えます。
 夫の兼家の立場からすれば、当時は一夫多妻だから、作者はあくまでも複数人いる妻のうちの一人でしかなく、彼の浮気も今でいう〝不倫〟にはあたりません。しかし作者の立場では、彼は唯一の夫であり、その浮気は心情的にはどうしても許せません。それにもかかわらず、この歌と〝菊一輪〟により、ぎりぎりのところで踏みとどまって自分の理性を示した作者の矜持には胸を打たれます。
 通常、一夫一妻制といわれているフクロウの世界では、絵に描いたようなことはないとは思いますが。

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