ハチ公に続け:「滝の音は絶えて久しくなりぬれど 名こそ流れてなほ聞こえけれ」のストーリー

(55番)滝の音は絶えて久しくなりぬれど 名こそ流れてなほ聞こえけれ
 あの滝の音が絶えてから長い年月がたってしまったが、その滝の名声は語り伝えられてまだ聞こえてくることだ。


 名作とは、それが失われても、いつまでもその名声が残り、語り伝えられるものという解釈ですが、絵画や彫像など形のあるものは、消失してしまえばその写真でも残されていなければ鑑賞のしようがなく、また一方、文学作品は元の原稿はなくなってもその写しや印刷物が残されていれば「なくなった」ということにはなりません。したがってこの場合の「滝」に例えられるのは名作そのものというよりも、その作者としたほうがよいかもしれません。
 そこで、この歌の主旨に深く触発されたイヌのポチが、あるにぎやかな駅前にある「忠犬○○公」の銅像をしみじみながめながら考えました。
 「この『○○公』は、亡くなった主人の帰りを駅前でずっと待ち続けたものの、最後は力尽きて死んでしまったということだ。しかしその〝忠犬ぶり〟が世の中の人びとを感動させ、銅像になってまでもいまだにみんなに語り伝えられているということだ。
 だからボクもこれから生きているあいだに何か名を残すことを成し遂げて、立派な像を駅前に作ってもらいたいものだ。よーし、がんばるぞー」

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