オオカミの遠吠え:「かささぎの渡せる橋におく霜の 白きを見れば夜ぞ更けにける」のストーリー

(6番)かささぎの渡せる橋におく霜の 白きを見れば夜ぞ更けにける
 かささぎが橋を渡しているような天の川に輝く霜のような白い星をみると、夜がふけたという実感を感じるということだ。


 「かささぎの渡せる橋」とは中国の伝説で天の川か、または宮中の階段とのこと。それによりこの歌の意味は別のものになってしまいますが、私としては「天の川」のほうにロマンを感じ、それに奈良時代以前の「宮中の階段」とはどういうものかわけがわからないので、前者の意味とします。そうすると、
右のような歌の解釈になるとのことです。
 ところが実は、私はつい数年前まで「天の川」らしきものを見たことがありませんでした。確かに銀河系の円盤の〝縁〟方向には相対的に多数の星が分布しているので、地球上から、その方向に沿って帯状の「光の河」が見られることは理屈の上で明らかなのですが、大気中のちりと街の灯りによるいわゆる〝光害〟のために、生涯これを目にすることがないと思っていました。しかし数年前、中央アルプスのある山小屋に宿泊中、夜中に用を足しに外のトイレに行く際にそれを実際に目にし、初めて自分もやはり「銀河系内のちり」のひとつにすぎないと実感ました。
 この歌の中では、「かささぎ」と「霜」は単なるたとえで使われていますが、絵の中では、冬の星空の下、実際にかささぎが飛び、オオカミが白い「霜のような」息を吐きながら遠吠えする光景を表現してみました。

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