再会:「瀬をはやみ岩にせかるる滝川の われても末に逢はむとぞ思ふ」のストーリー

(77番)瀬を早み岩にせかるる滝川の われても末に逢はむとぞ思ふ
 浅瀬の川の流れが速いので岩にせき止められた激流が、二つに割れても最後に合流するように、あなたに再会すると思っています。


 急流を流れる川の水が岩でせき止められて二つに分かれたように離ればなれになってしまった二人。この二人の再会の日が遠い将来のことになりそうというのが、一般的な解釈のようです。
 しかしご存じのように、狭い日本列島を流れる川は、ただでさえ流れが速いのに、「瀬を早み」とある場所は、その川のなかでも特に流れが速い地点のことをさしています。そこでは、いったん岩で分け隔てられた流れも、そのすぐ下流で合流します。
 すなわち、「瀬を早み」をたとえにもってきた主旨を額面通り受け取るとすれば、この再会のときは、〝すぐにやってくる〟とみなすほうが自然であると思います。ですから、この歌の意味合いを「なぁに、いま別れたとしてもすぐにまた逢えるさ」という軽いニュアンスとして取ったらいかがでしょうか。
 そうすると、たとえばこんな光景はどうでしょうか。ある児童公園にある(1人乗り)×2のブランコ。そこに二人の仲のよい幼なじみがそれぞれの台に逆方向に乗って同時に漕ぎ出す。二人は一時的に〝離ればなれ〟になる瞬間があっても、すぐに「再会」できることがわかっているので、おたがいに笑顔ですれちがう。

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