ー パロディ百人一首 ー

狼男の月見:「秋風にたなびく雲の絶え間より もれ出づる月の影のさやけさ」のストーリー

(79番)秋風にたなびく雲の絶え間より もれ出づる月の影のさやけさ
 秋風に吹かれ、横に伸びた雲のすきまから漏れ出る月の光の何と澄み切ったことか。


 きょうは中秋の名月の日。夜、自宅でテレビのニュースを見てこのことを知ったW氏は、窓の外をのぞいてみました。しかし残念ながら、その日の空はくもっていて〝中秋の名月〟は雲に隠れてその姿を見せません。わずかに雲のすきまからかすかに漏れる淡い光だけが、この名月の気配を感じさせています。
 W氏は、ぜひこの機会に「名月」とやらを一度は目に収めたく仕方がありません。実はW氏は、両親から特に人前で月を見ることを固く禁じられていたのでした。彼は「なぜボクだけが」と、ずっと疑問に感じてきましたが、「月を見ると大変なことが起こる」とおどされていましたので、これまでそれに従ってきたのでした。だが今は「一人っきりのときなら少しくらい見てもいいだろう」と思い、ひたすら雲が切れることを念じました。
 その願いが通じたのか、おりから吹きはじめた秋風により、〝中秋の名月〟を隠していた雲が流され、その美しい姿が現れました。
 自称「文化人」のW氏は深く感動し、気の利いた歌のひとつも詠んでみようとしました。するとそのときです。イケメンのW氏の端正な顔がみるみる恐ろしいオオカミの顔に変わっていきました!彼はこのとき初めて知ったのです。自分が狼男だということを。

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