ー パロディ百人一首 ー

トラの涙:「契りきなかたみに袖をしぼりつつ 末の松山波越さじとは」のストーリー

(42番)契りきなかたみに袖をしぼりつつ 末の松山波越さじとは
 約束しましたよね。お互いに泣きながら。末の松山を波が越せないことと同じくらい永遠に。


 ここに出てくる「袖をしぼる」、あるいは「袖を濡らす」といった表現は、「マリリンの涙が止まらない」にあるように、色恋沙汰で大泣きすることのたとえです。平安時代は、今とまったく違い、人前で大っぴらに泣くことは、「情緒豊か」な人ということでむしろ推奨されていたようです。
 とはいえ、現代においては、失恋したくらいで大げさに号泣するような男など描く気にもならないので、「代役」を登場させましょう。
 一見どう猛に見えて、心の中は大変優しいトラのナオトくんは、失恋の涙が止まらず、袖ならぬ前足の上にあふれさせています。ナオトくんは、恨みがましく彼女のことで愚痴っています。「約束しましたよね。末の松山を波が越えることがないように、二人の愛が変わることがないことを」
 ここでいう「末の松山」とは宮城県多賀城市にある実在する歌枕(現在では絵の背景にあるような石碑が残されています)であり、小高い丘になっていて、大津波ですら決して越えることがないことから「変わることがない愛」の象徴として使われました。事実平安時代の貞観地震(869年)、さらには記憶に新しい東日本大震災の際にも、この丘の上には津波が到達することがなかったのです。

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