獲物を見つけたサギ:「朝ぼらけ宇治の川霧たえだえに あらはれわたる瀬々の網代木」のストーリー

(64番)朝ぼらけ宇治の川霧たえだえに あらはれわたる瀬々の網代木
 夜明けの宇治川の川霧が晴れていき、浅瀬に網代木が現れてきた。


 ここでいう「網代」については、秋から冬にかけて川に流されてくる魚をとるための仕掛けで、杭を川の上流に向かってV字型に打ち、その杭の間に竹などで編んだ簀を張り、主に氷魚(アユの子ども)をとるものであるというような説明がネット上にあります。そして「網代木」とは、ここでいっている「杭」のことを指します。
 しかし結局実際の「網代」のスケッチ図のようなものを見つけることができなかったので、ここではこれを自分の記憶の中でこれに近い〝簗場〟に置き換えさせてもらいます。
 明け方、川霧が濃い宇治川を一匹のアユが上流に上っていると、簗場の仕掛けにかかり、竹の簀に乗り上げてしまいます。
 一方、簀の上流側には、川魚を狙うサギが待ち構えています。しかしこの時点では、川霧がまだ濃く、サギは獲物を発見することができません。
 日が昇るとともに川霧が徐々に晴れていきます。するとこの幸運なサギのすぐ目の前に、簗にかかった「ごちそう」が。
 という劇的な(笑い)光景を絵で表現しました。前回の「カワセミのチャンス到来」に引き続き、「おさかなの受難」のお話でした。

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